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清らかな甘さで新年を寿ぐ、
冬の京に咲く華やぎの福梅。
まぁるい色香を召し上がれ。
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吉村 |
このお菓子は福梅といいます。
正月の梅を模したものです。
白あんをやわらかな求肥で包み、
焼ゴテ(梅枝)で、形をつけて…。
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小僧 |
これは古くからあるお菓子ですか。 |
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吉村 |
そうですね。
正月〜2月、必ず出てくる定番のお菓子です。 |
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小僧 |
色と形が、上品で、ふんわりした、いいお菓子ですね。
いま以上に手を加えられない造形というか、
みごとに完成されている気がします。
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吉村 |
最初に作った人は、
いろいろ試行錯誤したと思うんですが、
ほんとうに美しい形をしています。
良いお菓子というのは、誰でもつくれるものですが、
最初につくった人が一番偉いと
つくづく思います(笑)。
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小僧 |
こういう伝統のお菓子をつくるときは、
なにか文献みたいなものを参考にするんですか?
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吉村 |
うちには江戸時代以降の和菓子見本帖があります。
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小僧 |
これを見たら、だいたいどんなお菓子かわかりますか?
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吉村 |
はい、わかります。
次回で紹介する元パティシエの女性が
縁があってうちで働くようになり、
大丸京都店でイベントをやったのですが
この和菓子見本帖を参考にして、
彼女なりのアレンジで新しいお菓子を出しました。
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小僧 |
この見本帖は、どこのお菓子屋さんにも
あるものではないですよね。
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吉村 |
よその店のことはわからないですが、
かなり貴重なものだと思います。
一番古い江戸時代の見本帖には、
棹ものがたくさん残っていますから、
生菓子より日持ちのするものをつくっていたんでしょうね。
大丸京都店のイベントで選んだもののひとつがこちらです。
ただ、最初、この字が読めなかった。
これは「袖かくし」と書いてあるらしいです(笑)。 |
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小僧 |
らしい…って(笑)。 |
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吉村 |
調べてみると、これは椿の品種のことで、
椿があまりにも美しいことから、
そっと隠してもって帰りたい!
それで「袖かくし」という名がついたそうです。
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小僧 |
へえ〜〜〜!
教養がないとまったくわかりません。とほほ
昔の人はそういうことを全部理解してたんですか。
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吉村 |
さあ、どうでしょう(笑)。
椿の赤の花びら、黄色のめしべ、冬の白。
いかにも凛とした冬の配色が美しい。
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■亀屋良長専務・吉村良和さん
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小僧 |
お菓子の形の話に戻りますが、
この福梅は全体的に丸いですね。 |
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吉村 |
生菓子の形は、
なるべく丸みをいかすというか、
あまり手を加えて形づくらないほうがいい。 |
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小僧 |
あえて具象化しない? |
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吉村 |
それもありますが、生地の質感を生かす。
お菓子本来の良さを引き出してあげる、
そんな作り方がおもしろい。
作為的にならないように注意しています。 |
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小僧 |
たしかに福梅は、ほとんど丸ですもんね。
リアルな形というより、抽象的にすればするほど、
お菓子を見た人が、その銘を読んで、想像して、
福々しい色香のなかに、清冽な冬に咲く、
あでやかな梅花を、より強く感じるわけで…。
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吉村 |
形ではなく、よく見たら、この焼印はたしかに梅だと。
福梅ひとつで、梅の形や樹の枝ぶり、
梅から受けるイメージを完結させています。
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★醒ヶ井水(さめがいみず)について |
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亀屋良長初代店主は店を構える際、
和菓子つくりには欠かせない
良質の水を求めてこの地に創業したという。
昭和37年に阪急地下鉄工事の影響で一旦枯れたが、
平成3年新社屋新築の折りに井戸を掘り直す。
再びこんこんと湧きでた京の銘水を
「醒ヶ井」と名付けて菓子つくりに用いている。 |
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- 亀屋良長
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京都市下京区四条通堀川東入ル醒ヶ井角
電話=075−221−2005
営業時間=9:00〜18:00
定休日=年中無休
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第二十七回「豆政・夷川五色豆」につづく |
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