
吉岡幸雄氏のプロフィールを見る
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| 小僧 |
染師の人も含めてですが、
伝統的な手仕事をする職人が減ってますね。
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| 吉岡 |
確かに減っている。
和紙をすく人は一年のうち半分休まないといけなかったり、
仕事が厳しく、あるいは注文がへって
廃業する人だって、ものすごく多いんです。
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| 小僧 |
京都府でも少ないですか。
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| 吉岡 |
紙すきは、京都は2軒だけですよ。
綾部市黒谷と宮津市大江というところに2軒だけ。
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| 小僧 |
それは「すき手がいない」からですか。
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| 吉岡 |
そういう理由もあるけど、
みんなが和紙を使わないことやね。
ふすまや障子を張り替えるときに、
機械ですいたような、
ビニールの入った破れない障子を使うやろ。
破れない障子って、おかしいでしょう。
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| 小僧 |
たしかに。
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| 吉岡 |
そんなの使っていたら呼吸できなくなって、
なんとなく調子悪くなったりするやろ。
昔は家のあちこちに紙を張ったもんや。
僕はどこにでも「手すき和紙」を使うようにしている。
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| 小僧 |
(家を見回して)はい、あそこにも、ここにも!
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| 吉岡 |
声を大にして言いたいことがあるんや。
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| 小僧 |
大にして、どうぞ!
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| 吉岡 |
モノの価値基準が安いか高いかになっている。
僕が和紙で作った名刺を差し上げると、
これは高いでしょう!と言う。
そういうことを臆面もなく口にする。
極めて貧困な文化だと思うんや。
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| 小僧 |
そうなった原因のひとつに、
人間と自然の関わりが極端に
薄れてしまったというのもありますか。
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| 吉岡 |
お、珍しくええこというね(笑)。
人間だって自然の生き物なわけだから、
自然に学んで、手を動かして、頭を使わなければね。
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| 小僧 |
はい。
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| 吉岡 |
われわれの仕事は植物を扱うから、
自然からいろんなことを学ぶ。
平安時代の和歌でもそうやけど、
自然が美しいから歌を詠もうとして
脳が鍛えられるわけでしょう。
それと同じように和紙屋さんも、染師も、他の職人も、
みんな手を動かして、工夫に工夫を重ねて、
いい仕事をしようと考え抜いているわけです。
何でもかんでも植物を煮たら、
いい色が採れるんではなくて、
自然をよく観察して、何回も実験して、手を動かして、
いいものだけを抽出している。
自然に聞きながら謙虚に仕事をしてきたんや。
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| 小僧 |
つねに謙虚に。
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| 吉岡 |
ところが、産業革命以後は、
材料があるないに関わらず、まず機械ありきで、
ほんで材料がなかったら外国に攻めこんで、
奪い取ってくるようになってしまった。
コットンがいい例で、
木綿を機械で紡いだのがイギリス産業革命の始まりだけど、
イギリスなんて寒い国で、木綿なんてひとつもできない。
全部外国から奪い取るようにしてやった。
もっと作れ、もっと作れと。
アメリカ南部の綿摘み奴隷とか、
そういう悲劇が起こっても気にもしない。
機械化によって悲惨なことが次々と起きる。
現代でも根っこは同じや。
考えもなしにひたすら量産する。
とりあえず儲けるという考え方がはびこっている。
それはなぜかというと、すべて極端な機械化。
手仕事だったら、ちょっと足らないから休めばいいけど、
機械は休ませられないから、どんどんものを作る。
そうすると今度はコストダウンといって、
低開発国にみんな負担がいく。
こういうおかしな循環になってきていることが
もうダメなんだけれども、
そんなことを僕が言ったって誰も聞いてくれないから、
われわれは染師は、ひたすら手が大事だと思って、
コツコツ地道に手仕事に邁進しているわけや。 |
| 小僧 |
ふぁいと♪
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| 吉岡 |
日本というのは、
まだ完璧な革命が起きない国なんですよ。
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| 小僧 |
ああ、なるほど。残ってますものね。
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| 吉岡 |
日本は明治時代に化学染料になったけど、
日本古来の伝統は、ちょっと残った。
欧米は、もう全部ない。まるごと消えた。
彼らに植物染めなんか見せたら、
何してんのん?というようなもんやね。
もう伝統の技が完全に途絶えている。
その点、日本は少しは流れているわけや。
文明開化というダムでせき止められたけど、
ちょろちょろとした流れが残っている。
僕はそういう小さな流れでも、
いま見てもらわないと危機が来ると思う。
ウチなんか伝統の絶滅危惧種や。
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| 小僧 |
絶やしてはいけないですね。
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| 吉岡 |
あかんと思いますよ。
そのためには大変な努力をしなきゃいけない。
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| 小僧 |
物事をはじめることを、手を染めると言います。
手仕事というのは、まさしく自分の手を染めて染めて、
後世に残し伝えていくために、
あきらめないでやっていくしかないんですね。
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| 吉岡 |
そやね。
手を染めて動かして…手仕事。
お母さんが夜なべをしてという歌があるやろ。
いま、お母さんに徹夜して洋服を縫ってくれとは言わんけど、
手を使ってモノを作ることをしなくなったら、
あほな人間ばかりが増えていくと思いますよ。
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| 小僧 |
弱ったもんですね。
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| 吉岡 |
自分たちのものは、自分たちである程度作るとか、
自分ができることは自分でするという思想を
もう一回きちんと見つめ直さないとね。
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| 小僧 |
はい。
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| 吉岡 |
昔は四里四方のものを食べろと言った。
住んでいる近くでとれた旬のものを食べる。
ほんとうの意味での地産地消やね。
今は宅急便で北海道から新鮮な海産物が翌日届くし、
外国のどこで作ったかわからんような野菜が来るわ、
別にそれが全部悪いとは思わないけれど、
それをしたら人間というのは、
どこかがダメになって、やがて脳が衰えていく。
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| 小僧 |
脳が衰えると同時に、
自然を見る力がなくなっていく。
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| 吉岡 |
そや。
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| 小僧 |
それで町の景観を平気で駄目にしてしまうと。
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| 吉岡 |
どんどん無神経になっていくわけや。
自然に強く関わる仕事をしていると、
不思議なものでいろんなことが見えてくる。
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ものづくりでも、われわれのような
伝統工芸だけがいいとは思っていない。
伝統工芸といっても、どこから始まったか
わからないものがいっぱいあるわけだからね。
古くからあるものすべてが伝統とは思わないけど、
自分らが勝手なことばかりやったらあかんのですわ。
いつも、謙虚に、自然の声をよく聞いて、
四季の流れに逆らわないようにせんとね。
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| 小僧 |
不自然なことはダメですね。
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| 吉岡 |
自然ときちんと向き合い、
自然をしっかり見つめることが大切やね。
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| 小僧 |
染色家は、一流の自然観察者でもあるわけですね。
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| 吉岡 |
あんた、ええこと言うな〜♪
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背景データ協力/紫紅社
http://www.artbooks-shikosha.com/index.html |
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